汚泥脱水機を稼働させるうえで、「洗浄水」は欠かせない要素です。しかし、洗浄水の使用量が多くなるほど、水道代や工業用水代がかさみ、工場のランニングコストを圧迫する要因となります。
また、使用した水は排水として処理する必要があるため、排水処理設備への負荷も大きくなります。そのため、近年では多くの現場で洗浄水の大幅な削減が求められています。
本記事では、汚泥脱水機における洗浄水の役割と現場が抱える課題を整理したうえで、従来機で水使用量が増える原因や、具体的な節水対策について詳しく解説します。
脱水機を安定して稼働させるためには洗浄水が必要不可欠ですが、その使用に伴うコストや設備への影響は無視できません。
脱水機における洗浄水の主な役割は、ろ布やスクリーンといったろ過体の目詰まりを防ぐことです。汚泥に圧力をかけて水分を絞り出す過程で、微細な固形物がろ過体の隙間に入り込みます。これを洗い流さずに放置すると脱水効率が低下してしまうため、水を使って継続的に汚れを落とす必要があります。
近年、光熱水費の上昇が多くの企業の経営課題となっています。特に洗浄水をかけ流しで使い続けるタイプの脱水機では、毎日の水道代や工業用水代が大きく膨らみます。汚泥処理にかかるトータルコストを抑えるためには、この洗浄水にかかる費用の削減が重要なテーマとなります。
使用された洗浄水は、汚泥の汚れを含んだ排水(逆流水)として、再び排水処理設備へ送られます。脱水機で大量の水を消費するということは、それだけ排水処理設備へ戻る水量が増えることを意味します。これにより、水処理設備全体の水力負荷が高まり、ポンプの電気代増加や処理効率の低下を引き起こす要因となります。
長年使用されてきた従来型の脱水機では、構造上の理由から洗浄水の使用量が多くなりがちです。
ベルトプレスやフィルタープレスなどの「ろ布」を使用する脱水機は、ろ布の目を常に綺麗な状態に保たなければ脱水不良を起こします。そのため、稼働中は常に高圧シャワーでろ布を洗浄し続ける必要があり、どうしても水の使用量が多くなる構造となっています。
食品工場などで発生する油分を含んだ汚泥や、加圧浮上設備から出るフロスは、粘着性が高くろ布に付着しやすい性質を持っています。このような難処理汚泥を扱う場合、通常の水圧では汚れが落ちきらないため、洗浄水量を増やしたり、より高圧で洗浄したりする必要が生じ、結果として消費水量が増加します。
洗浄水に微小な不純物が含まれていると、シャワーノズルが詰まって洗浄ムラが発生することがあります。洗浄ムラができると一部のろ過面が目詰まりを起こすため、作業員が定期的に手作業でノズルやろ布を清掃しなければなりません。これは水の使用量だけでなく、人件費や現場の作業工数増加にもつながります。
洗浄水の問題を解決し、工場のコストダウンを図るための具体的なアプローチを紹介します。
まずは現在使用している脱水機の洗浄設定を見直すことが重要です。汚泥の性質や日々の脱水状況に合わせて、常時洗浄から間欠洗浄へ切り替えたり、タイマー設定を調整したりすることで、無駄な水の使用を抑えられます。稼働状況に応じた適切な頻度を見つけることが節水の第一歩です。
上水や工業用水の代わりに、自社の排水処理設備から排出される処理水(中水)を洗浄水として再利用する方法もあります。水質基準を満たすためのストレーナー(ろ過器)などの設備投資は必要になりますが、工場外部から購入する水量を大きく削減することが期待できます。
根本的な解決策として、目詰まりしにくい構造を持つ新しい脱水機への更新が挙げられます。ろ布を使わない仕組みの脱水機であれば、高圧シャワーによる常時洗浄に頼る必要がなくなり、洗浄水量を劇的に削減することが可能です。
洗浄水の大幅な削減を目指す場合、機器の構造そのものが目詰まりに強い設計になっているかどうかが重要になります。
節水に優れた機器の代表例として「多重円板型脱水機」があります。このタイプは、固定リングと遊動リングという金属製の円板を重ね合わせた構造を持っています。内部のスクリューが回転することで遊動リングが動き、自ら隙間の汚れを落とす仕組み(セルフクリーニング機構)を備えているため、ろ過体が目詰まりしにくいのが特徴です。少量の水による間欠洗浄だけで性能を維持できるため、大きな節水効果を発揮します。
実際に、ろ布を使った従来機から多重円板型などの節水型脱水機へ更新した工場では、洗浄水量を以前の数十分の一から百分の一程度まで削減できた事例が多く存在します。水道代の大幅な削減に加え、排水設備への戻り水が減ることで工場全体の処理効率も向上し、手作業による清掃の手間も省けるなど、現場に多くのメリットをもたらしています。
汚泥脱水機における洗浄水の使用量は、水質管理だけでなく、工場のランニングコストや排水処理設備への負荷、現場の作業工数に直結する重要なポイントです。
従来型の脱水機では構造上どうしても多くの水を消費しますが、日々の設定見直しや、多重円板型のような目詰まりしにくい機器への更新を行うことで、水使用量を大きく削減できます。自社の汚泥の性質や現場の運用状況に合わせて、節水効果に優れた脱水機への見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

| 処理能力 | 3~216kgDS/h |
|---|---|
| 全長 | 1,790~3,720mm |

| 処理能力 | 要問合せ |
|---|---|
| 全長 | 要問合せ |

| 処理能力 | 3~120㎥/h |
|---|---|
| 全長 | 1,550~6,240mm |
※1 参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Water_Treatment_Equipment/detail/MDQ.php)
※2:2025年8月調査時点:参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Dehydrators-Series/)
※3 参照元:東洋スクリーン公式HP(https://www.toyoscreen.co.jp/product/?p=1&ca=7)