多重円板型脱水機は、複数の円板を積層した構造をゆっくり回転させ、汚泥を搬送しながら低圧で脱水する仕組みを採用しています。円板同士の隙間で適度にせん断がかかるため、汚泥が滞留しにくく、ろ体の目詰まりを抑えながら安定的に運転できる点が大きな特徴です。
静音性に優れており、稼働中の振動もほとんど発生しないため、設備環境に負荷をかけず導入しやすい脱水機といえます。また、汚泥の搬送から排出までを内部で完結させる構造のため、臭気が外部へ広がりにくいのも利点です。工場の作業環境を悪化させずに運用しやすい脱水方式として幅広く採用されています。
多重円板型脱水機は、含油汚泥・凝集汚泥・生物処理汚泥との相性が良く、粘性が高い汚泥でも流動性を保ちながら搬送できます。特に、食品加工や飲料製造の工程で発生する油分を含んだ汚泥は、一般的なベルト方式では目詰まりを起こしやすいのに対し、多重円板型では円板の回転によって油分が広がりにくく、安定処理につながります。
また、フロック(凝集体)の崩壊を過度に招かないため、生物処理汚泥のような柔らかい汚泥でも、一定の強度を保ちながら脱水することが可能です。粒径や粘性のばらつきが大きい汚泥にも対応できる柔軟性が評価されています。
食品・飲料工場やし尿処理施設、油分を多く含む排水を扱う製造現場など、油脂成分が混じった汚泥が発生しやすい業界で採用されることが多く見られます。油分を含む汚泥は一般的に固液分離が難しい傾向がありますが、多重円板型は構造上ろ体の閉塞が起こりにくく、長時間の連続運転でも性能が安定しやすいのが理由です。
また、設備のサイズを比較的コンパクトにまとめられるため、機械室が狭い工場や、既存設備に後付けしたい現場でも導入しやすい点が支持されています。限られたスペースでも運用可能な脱水機としての評価も高い方式です。
多重円板型は、フィルタープレスや大型ベルトプレスのような大規模な加圧装置を必要としないため、初期コストは中程度に収まります。設備規模に対して合理的に設計されており、搬送・脱水を同じ機構で行う点から、構造部品も複雑になりすぎません。
また、低速回転を前提とした装置構成のため、駆動系の部品点数が少なく、据付工事も比較的シンプルです。導入のハードルが低い脱水方式として、小規模事業所でも採用しやすい価格帯となっています。
動力源が小型モーターであり、加圧ポンプや真空ポンプを必要としないため、運転に必要なエネルギー量は非常に少なく済みます。薬注量も比較的少なくて済むため、長期運用した際のランニングコストが低く抑えられる点がメリットです。
ろ体の構造上、洗浄に使う水量が少なくて済むため、他方式と比較して水道代の負担が軽いことも大きな特徴です。省エネルギー・省水量という二つの側面でコストメリットを発揮します。
多重円板型脱水機で得られる脱水ケーキの含水率は80〜85%が一般的です。フィルタープレスのような高圧脱水方式には及ばないものの、油分や粘性が強い汚泥を安定して処理できる点では優位性があります。
また、低速回転で汚泥を均一に搬送するため、汚泥の性状に大きなばらつきがあっても含水率の変動が少なく、安定した品質のケーキを排出できます。脱水率よりも運転の安定性や扱いやすさを重視する現場に適した方式です。

薄い円板とスペーサーを組み合わせて並べた筒状のろ体を上下に複数配置し、一定方向に回転させ、汚泥を搬送する間に脱水を行います。
通過時に重力が作用して水が落ち、脱水された汚泥は脱水ケーキとなって排出。幅広のろ体を用いるため、大きなろ過面積を確保できます。圧力や真空を必要としない、省エネルギー型の脱水機です。
重力と圧搾による脱水原理のため、振動や騒音、臭気がほとんどありません。加圧や真空を必要とせず、低速回転で運転する構造のため、省エネルギーでの連続稼働が可能です。目詰まりしにくいろ体を採用しているので、洗浄水は少量で済み、維持管理の負担が軽減されます。
多重円板型は、内部の円板がゆっくりと回転するだけのシンプルな駆動のため、運転時の騒音レベルが非常に低いのが特徴です。稼働中の振動が小さいので、処理場の基礎構造や床への負担が少なく、既存施設への追加設置でも大がかりな補強を必要としません。
また、汚泥が外部へ飛散しにくい密閉性の高い構造のため、臭気の拡散を抑え、作業環境の改善にも寄与します。工場内で人が近くに作業する場面でも導入しやすい脱水機として評価されています。
動力は小型モーターのみで、加圧ポンプや真空ポンプを使う脱水方式に比べて大幅に消費電力を削減できます。洗浄構造も効率化されており、ろ体の目詰まりが起きにくいことから、洗浄水量は他のろ過方式よりも少なく済みます。
これにより、月々の電気代と水道代を合わせても負担が小さく、長期運用時のランニングコストを最も抑えやすい脱水方式のひとつになります。特に中小規模の事業所や24時間運転を行う現場でメリットが大きいです。
多重円板型は、汚泥が円板間を通る際に自然に攪拌されるため、粘性が高い汚泥でも流動性を保ちながら搬送できます。一定の柔軟性があるため、生物処理汚泥・含油汚泥・凝集汚泥など多様な汚泥を扱える点も、大きな強みです。
さらに、固形分量のばらつきがあっても円板が汚泥層を均一にかき混ぜるため、急激に脱水性能が低下するリスクが少なく、日ごとに性状が変わる汚泥でも比較的安定した処理ができるという利点があります。
汚泥の性状によって、凝集剤の種類や濃度を調整する必要があります。装置出入口のろ体回転速度も汚泥性状に合わせて最適化する必要があり、操作に慣れるまでは注意が必要です。また、ろ体からにじみ出る汚泥の洗浄が必要で、清掃を定期的に行わなければ効率低下を招きます。
構造上、加圧をかけて水分を押し出す方式ではないため、フィルタープレスのようにケーキ含水率を大幅に下げることはできません。80〜85%前後が一般的で、無機性汚泥や化学汚泥のように高圧脱水が向く汚泥には不向きです。
そのため、最終処分量を極力減らしたい現場や、乾燥工程の前段として脱水率を重視する場合には別方式を検討する方が適しています。
多重円板型は、汚泥のフロック(凝集体)が適度な強さを持っていないと脱水効率が安定しにくい傾向があります。そのため、汚泥のばらつきが大きい現場では、凝集剤の種類・添加量・希釈率を細かく調整する必要があり、一定の運転ノウハウが求められます。
特に油分・繊維分が多い汚泥では凝集状態が不安定になりやすく、フロックが壊れた場合は処理能力が低下します。
目詰まりしにくい構造とはいえ、運転が長時間に及ぶ現場では、ろ体の表面に微細な固形物が付着して透水性が低下していきます。これを放置するとケーキ含水率の上昇や処理能力の低下を招くため、定期的な洗浄は避けられません。
洗浄そのものは簡単ですが、日常的な点検や軽微なメンテナンスが必要である点は理解しておく必要があります。

| 脱水方式 | 多重円盤型 |
|---|---|
| 処理能力 | 12~40kgDS/h |
| 想定濃度 | 記載なし |
| ケーキ含水率 | 記載なし |
| サイズ | 2,207mm(W)×1,035mm(D)×1,827mm(H) |
| 消費電力 | 1.65KW |
| 要メンテナンス項目 | 記載なし |
鶴見製作所のJD-500(JD型)は、「重力ろ過」と「圧搾」を組み合わせた独自の脱水原理により、食品・飲料工場の排水処理で課題となる「油脂分」の多い汚泥でも安定して処理できる省エネルギー型脱水機です。
最大の強みは、目詰まりしにくい「セルフクリーニングろ体」構造にあります。金属と樹脂を組み合わせた最新設計により、従来の金属円板タイプと比較して洗浄水量を60%削減しつつ、ろ布式や遠心式では困難だった加圧浮上フロス(含油汚泥)の効率的な脱水を実現しました。
運用面では、現場の負担を最小限に抑える機能を凝縮しています。
特に、「油分による目詰まりに悩んでいる」「排水処理の水道光熱費を削りたい」「作業環境の臭気を改善したい」という食品・飲料メーカー様に適した一台です。

ある食品工場の排水処理設備において、老朽化したベルトプレス脱水機からの更新として「多重円板型脱水機 JD型(JD-750S)」が導入されました。
導入にあたっては、従来の設備における稼働時間や消費電力、多量に使用していた洗浄水量を精査。JD型へ入れ替えることで、ランニングコストの削減と、節水・省エネ化の両立が可能になる点が評価されました。
納入後は、懸念されていた油脂分を含む汚泥も安定して処理されており、製品の品質・性能ともに納得のいく結果を得ています。また、ろ体が超低速で回転する構造のため、ベルト式のような複雑な洗浄工程が不要になり、「日常のメンテナンスが非常に容易になった」と現場の運用面でもメリットが実感されています。

| 脱水方式 | 多重円盤型 |
|---|---|
| 処理能力 | 300リットル/h |
| 想定濃度 | 0.8~2.0%(生物処理汚泥の場合) |
| ケーキ含水率 | 85% |
| サイズ | 1,500mm(W)×1,200mm(D)×1,400mm(H) |
| 消費電力 | 1.24KW |
| 要メンテナンス項目 | 目視による点検、センサー部分の清掃、薬品の補充 |
ジャステックの「汚泥脱水ユニットMVP 300U」は、汚泥脱水機と高分子凝集剤の自動溶解機を一体化させたオールインワンモデルです。余剰汚泥の処理に必要な設備を一つのユニットに集約することで、「初めて汚泥脱水機を導入する現場」や「専任の設備担当者が不在の事業所」でもスムーズな運用を可能にしています。
この製品の際立った特徴は、導入コストと工期を大幅に抑える「省スペース設計」にあります。
さらに、消費電力はわずか1.26kWhと、従来の設備構成と比較して約40%の削減を達成しています。耐久性の高いステンレス(SUS)製を要部に採用しているため、長期にわたって安定した稼働が期待できます。
「設置スペースが限られている」「排水処理の専門知識を持つスタッフがいない」「設備投資の初期費用をできるだけ抑えたい」という、小規模事業所や中堅規模の製造現場において、その真価を発揮するユニット製品です。
MVP 300Uの導入事例は掲載されていませんでした。

| 脱水方式 | 多重円盤型 |
|---|---|
| 処理能力 | 1.0~1.5㎥/日 |
| 想定濃度 | 記載なし |
| ケーキ含水率 | 記載なし |
| サイズ | 1,035㎜(W)×2,647㎜(D)×1,845㎜(V) |
| 消費電力 | 0.4kW(動力装置) |
| 要メンテナンス項目 | 記載なし |
IHI回転機械エンジニアリングの「PD-250Ⅱ」は、長年の基礎技術研究をベースに開発された、環境性能と処理能力を両立する多重円板脱水機です。「省エネルギー・低騒音・低臭気」という多重円板型の長所を活かしつつ、独自開発の新型ろ体を採用することで、さらなる動力低減を実現しています。
この製品の主な特徴は、効率的な脱水プロセスと大規模な処理への対応力にあります。
また、金網やろ布を使用しない構造のため、含油排水の処理においても優れた適応性を持っています。定期的な圧力水による自動洗浄機能も備わっていますが、もともとのろ過効率が高いため、洗浄水の使用量も抑えられています。
「油分を含む汚泥の処理を安定させたい」「将来的な増設を見据えて拡張性のあるシリーズを選びたい」「信頼性の高いメーカー製で長期的なメンテナンス体制を重視したい」という、大規模工場や自治体のインフラ施設など、止まることの許されない現場での運用に適した一台です。
PD-250Ⅱの導入事例は掲載されていませんでした。
※選定基準:Google「汚泥脱水機」で検索して表示された汚泥脱水機メーカー上位20社のうち、
下記2項を満たす3社を選定(2023年2月現在)
・多重円板型脱水機を取り扱っている
・アフターフォローについて記載がある
機械構造がシンプルなので、メンテナンスしやすい造りになっています。超低速回転で、汚泥が飛んで付着しにくいため、日常メンテナンスは簡単です。汚泥脱水機の出張デモや、有償で貸し出しを行っている会社もあります。

| 処理能力 | 3~216kgDS/h |
|---|---|
| 全長 | 1,790~3,720mm |

| 処理能力 | 要問合せ |
|---|---|
| 全長 | 要問合せ |

| 処理能力 | 3~120㎥/h |
|---|---|
| 全長 | 1,550~6,240mm |
※1 参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Water_Treatment_Equipment/detail/MDQ.php)
※2:2025年8月調査時点:参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Dehydrators-Series/)
※3 参照元:東洋スクリーン公式HP(https://www.toyoscreen.co.jp/product/?p=1&ca=7)