排水処理施設の運営では、産業廃棄物として処分する汚泥の処分費用や、脱水機の電気代・メンテナンス費などが継続的に発生します。ランニングコストを削減するには、汚泥脱水機を活用するのがおすすめです。
本記事では、施設運営のランニングコストを削減できる仕組みや費用の内訳、脱水機の種類、自社に適した機種を選ぶポイントを解説します。
汚泥を産業廃棄物として外部委託する場合、処分費用は重量を基準に設定されるケースがあります。汚泥には多くの水分が含まれているため、脱水して水分を取り除いた分だけ処分する汚泥の重量を減らすことが可能です。含水率を下げて重量を減らすことで、処分量の削減につながります。
つまり、汚泥脱水機は単に汚泥を処理する設備ではなく、継続的に発生する処分費用を抑えるための設備としても有効なのです。
汚泥の「含水率」は、重量のうち水分が占める割合です。例えば含水率99%の汚泥100kgなら、固形分は1kg、水分は99kgとなります。
含水率が高い汚泥をそのまま処分すると、固形分だけでなく大量の水分も含めた重量に対して処分費用が発生するため、注意が必要です。脱水機で水分を取り除き、処分する重量を減らすことが、汚泥処分費用の削減につながります。
含水率99%の汚泥100kgを基準に、固形分1kgを維持したまま脱水した場合、処分する汚泥の重量は次のように変わります。
含水率99%と98%はわずか1%の差ですが、処分重量は約半分に削減されます。処分単価が重量に応じて決まる場合、処分費用は約半分になるということです。含水率50%まで脱水できれば、処分重量は2kgになり、処分費用もさらに安価になります。
汚泥脱水機のランニングコストは、脱水後の汚泥を処分する費用だけではありません。設備を継続して稼働させるために、次のような費用も発生します。
脱水機を選ぶ際は、脱水性能だけでなく、これらの費用を含めたランニングコストで比較することが重要です。例えば、処分する汚泥量を大きく減らせても、電力消費が多かったり、頻繁な部品交換が必要だったりすると、期待したほどコストを削減できない場合があります。導入・更新時には、初期費用だけでなく、長期的な運用費まで見据えて機種を選びましょう。
脱水機から排出される脱水ケーキを産業廃棄物として外部委託する場合、処分費用が継続的に発生します。処分業者によって料金体系は異なりますが、m³や重量あたりの単価で費用が設定される場合があるため、脱水によってケーキの発生量を減らすことがランニングコストの削減につながります。
例えば鶴見製作所の資料では、脱水ケーキ処分費用を15,000円/m³として削減効果を試算しています。実際の費用は汚泥の性状や委託先などによって異なるため、自社の処分単価を確認したうえで比較しましょう。
脱水機の運用では、モーターなどを動かすための電気代に加え、凝集剤などの薬品代、洗浄に使用する水道代、部品交換などのメンテナンス費も発生します。特に長期間使用する設備では、1回の電気代や部品代だけでなく、年間・数年間の累計費用で比較することが重要です。省電力設計の機種やメンテナンス負担を抑えやすい機種を選ぶことで、こうした維持管理費を抑えられる可能性があります。
汚泥脱水機には、フィルタープレス、ベルトプレス、スクリュープレス、多重円盤など複数の方式があります。それぞれ脱水の仕組みや適した汚泥、得られる含水率、メンテナンス上の注意点は異なるため、処分費だけでなく電気代や部品交換などを含めたランニングコストも方式ごとに変わります。
例えば、強力な脱水が可能な方式でも、汚泥との相性によってはろ材の目詰まりなどが起こり、処理能力の低下やメンテナンス負担の増加につながることがあります。一方、目詰まりしにくい方式でも、部品の摩耗などによって維持管理費が発生する場合があります。「最も含水率を下げられる機種」ではなく、処分費と設備の維持管理費を合わせたトータルコストで比較することが大切です。
フィルタープレスは、ろ布などを使って汚泥を加圧し、水分を分離する方式です。無機汚泥などに適しており、含水率55~65%程度まで脱水できるのが特徴です。一方、ろ布に汚泥が詰まると脱水性能や処理量が低下する可能性があるため、ろ布の洗浄など適切なメンテナンスが必要です。高い脱水性能によって処分する汚泥量を抑えやすい一方、ろ布の洗浄や交換などの維持管理コストも考慮する必要があります。
ベルトプレスは、ベルト状のろ材で汚泥を挟み、圧力をかけて脱水する方式です。有機汚泥に適しており、大容量の連続処理に向いています。脱水後の含水率は70~80%程度が目安ですが、安定した処理を続けるにはろ布の状態を維持するための管理が必要です。大容量を連続処理できるため、処理量の多い施設では運転効率を考慮しやすい一方、ろ布の洗浄・交換などの維持管理コストも含めて検討しましょう。
スクリュープレスは、筒状のろ材の内部でスクリューを回転させ、汚泥を圧密しながら脱水する方式です。有機汚泥に適しており、含水率75~85%程度まで脱水できるのが目安です。目詰まりしにくく、ろ材の洗浄などの負担を抑えやすい一方、異物が混入すると汚泥の排出口が閉塞する可能性があるため、異物の除去など適切な管理が必要です。目詰まりによる処理能力の低下や洗浄負担を抑えやすいことから、維持管理コストも含めて検討しやすい方式です。
多重円盤は、複数の円盤を組み合わせたろ過部で汚泥を脱水する方式です。有機汚泥や含油汚泥などに対応し、含水率78~84%程度まで脱水できるのが目安です。目詰まりしにくい一方、使用状況によって円盤が摩耗する可能性があるため、部品の状態を確認しながら適切にメンテナンスすることが重要です。目詰まりによる維持管理の負担を抑えやすい一方、円盤の摩耗・交換にかかる費用も考慮する必要があります。
汚泥脱水機は、カタログに記載された処理能力や脱水性能だけで選ぶのではなく、実際に処理する汚泥との相性を確認することが重要です。汚泥の種類や粘度、油分の有無、処理量などによって適した方式は異なります。
導入前に実汚泥を使ったデモンストレーション(脱水試験)を行い、含水率や処理量、薬品使用量、ケーキの状態、運転・メンテナンス性などを確認しましょう。カタログスペックだけでは分からない目詰まりや脱水不良のリスクを把握しやすくなります。
当メディアでは、有機汚泥処理を中心として食品製造、製紙などの現場・業種別におすすめの汚泥脱水機を厳選しているので、参考にしてみてください。
汚泥脱水機は、汚泥の含水率を下げて処分重量を減らすことで、処分費用を含むランニングコストの削減を実現する設備です。電気代やメンテナンス費を含めた総コストで比較し、実汚泥を使った脱水試験で自社に適した方式を見極めることが重要です。既設脱水機のコストや性能に課題がある場合は、デモ対応や設備選定まで相談できる専門業者に確認するとよいでしょう。

| 処理能力 | 3~216kgDS/h |
|---|---|
| 全長 | 1,790~3,720mm |

| 処理能力 | 要問合せ |
|---|---|
| 全長 | 要問合せ |

| 処理能力 | 3~120㎥/h |
|---|---|
| 全長 | 1,550~6,240mm |
※1 参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Water_Treatment_Equipment/detail/MDQ.php)
※2:2025年8月調査時点:参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Dehydrators-Series/)
※3 参照元:東洋スクリーン公式HP(https://www.toyoscreen.co.jp/product/?p=1&ca=7)