汚泥脱水機選定メディア|スラスラッジ » 汚泥処理の悩み・課題を解決 » 汚泥処理コストが高くなる原因とは?
削減の基本ポイント

汚泥処理コストが高くなる原因とは?
削減の基本ポイント

工場や下水処理施設などで発生する汚泥は、適切に処理しなければならない産業廃棄物のひとつです。汚泥の処理には運搬費・処理費・人件費など多くのコストがかかり、企業にとって無視できない固定費のひとつとなっています。ここでは、汚泥処理コストが高くなる主な原因と、費用を抑えるための基本的な考え方を紹介します。

目次

汚泥処理コストが高くなる主な原因

汚泥処理の費用は、汚泥の量や性状、処理の委託先などによって変わります。全国平均単価は1kgあたり20~30円(※)ですが、処理条件によっては倍近くになることもあります。まずはコストを押し上げている要素を整理してみましょう。

1. 含水率が高い汚泥を搬出している

汚泥のほとんどは水分を多く含んでおり、重量の約8割が水分というケースも珍しくありません。処理費用は重量単位で算出されるため、水分を多く含む汚泥はそのまま“水を運んでいる”のと同じ状態になります。このため輸送コストや処分費が大きくなり、結果として処理全体の費用が高くなります。

2. 運搬距離と回数が多い

処理施設までの距離が長い場合、運搬車両の燃料費・人件費が増えます。また汚泥の保管容量が小さい施設では、頻繁に収集運搬を行う必要があり、そのたびにコストが発生します。近距離に処理業者がない地域ほど費用が高くなる傾向があります。

3. 委託費用の上昇と外部依存

多くの事業所では、汚泥の処理を専門業者に委託しています。近年は人件費や燃料費の高騰により、処理単価が上昇傾向にあります。さらに外部業者に完全委託していると、コスト構造の内訳を把握しづらく、価格交渉もしにくいという問題があります。

4. 汚泥の性状が処理に適していない

汚泥中の粒径や有機物の含有率が高い場合、処理効率が低下します。処理しづらい汚泥は脱水や乾燥に時間がかかり、薬品量やエネルギー消費が増加します。これもコスト上昇の一因です。

5. 人件費・設備維持費などの間接コスト

自社内で一部処理を行っている場合、処理槽の清掃・薬品補充・設備点検などに人的コストが発生します。また、老朽化した設備を使い続けるとエネルギー効率が悪く、電力や修繕の費用も増えます。

コスト構造を把握することが削減の第一歩

汚泥処理にかかる費用は大きく分けて「運搬費」「処理費」「人件費」「設備費」に分類されます。まずはそれぞれの内訳を明確にすることが、削減に向けた出発点になります。

運搬費 収集車両の燃料費、作業員の人件費、積み込み・運搬距離に応じた費用
処理費 脱水・焼却・埋立などの処理工程にかかる費用、薬品費、エネルギー費
人件費 自社作業員の人件費、保守管理担当の人件費
設備費 処理設備の購入費・修繕費・更新費など

これらの費用のうち、最も影響が大きいのが「運搬費」と「処理費」です。汚泥の重量を減らすことができれば、これら2項目をまとめて削減できます。

汚泥処理コストを抑える基本的な考え方

コスト削減を目的に汚泥処理の見直しを行う場合、最も効果的なのは汚泥の含水率を下げて重量を減らすことです。ここではそのために検討すべきポイントを紹介します。

1. 含水率の低下による輸送コスト削減

脱水処理を行い、汚泥中の水分を減らすことで、体積と重量の両方を縮小できます。たとえば含水率99%の汚泥を80%まで脱水した場合、体積は約1/20まで減少します。重量を減らすことはそのまま処理費の削減につながる最も確実な手段です。

2. 自社処理設備の導入検討

委託費が高騰している場合、自社で一次処理を行うだけでもコストを抑えられます。汚泥脱水機を設置し、脱水ケーキの状態にしてから処理業者へ搬出することで、運搬費・処理費を合わせて削減できます。

3. 適正な処理業者の選定

処理委託先によって、料金体系や対象汚泥の種類、処理方式が異なります。見積もりを複数比較し、単価だけでなく「処理後の含水率」「追加費用の有無」などを確認することが重要です。透明性の高い業者を選ぶことで、無駄な支出を防げます。

4. 発生源での対策(前処理の工夫)

汚泥発生段階での固液分離や凝集剤の適正使用によって、脱水しやすい汚泥に改善することも可能です。発生源で汚泥の性状を整えるだけでも、後段の処理効率を大きく向上できます。

コスト削減の効果を定量的に把握する

汚泥処理費用の削減は、効果を定量的に示すことで社内合意を得やすくなります。ここでは簡単なシミュレーション例を紹介します。

項目 含水率99% 含水率80%
処理量 100kg(うち水分99kg) 20kg(うち水分16kg)
処理単価(20円/kgの場合) 2,000円 400円
削減効果 約1,600円/回のコスト削減

このように、含水率を下げるだけでも輸送費・処理費を合わせて数十%のコスト削減が期待できます。自社での脱水工程導入は初期費用こそかかりますが、数年単位で見れば十分に回収可能なケースが多いです。

まとめ:コスト削減の鍵は「汚泥を軽くする」こと

汚泥処理コストを抑えるには、まず現状の費用構造を把握し、重量を左右する含水率を下げる取り組みが有効です。運搬費・処理費・人件費を同時に減らすには、汚泥の水分を減らす工程をいかに効率化できるかがポイントとなります。

含水率を低下させるには脱水設備の導入が最も現実的です。設備の種類や特徴は施設規模や汚泥性状によって異なるため、目的に合った脱水方式を選ぶことが大切です。実際にどの方式が自社に合うか知りたい方は、以下のページで各脱水機の特徴を比較してみてください。

汚泥脱水機の種類と特徴を詳しく見る

導入業種別 汚泥脱水機3選
多重板型スクリュープレス脱水機 MDシリーズ
画像引用元:鶴見製作所公式HP
(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Water_Treatment_Equipment/detail/MDQ.php)
多重板型スクリュープレス脱水機
MDシリーズ
処理能力 3~216kgDS/h
全長 1,790~3,720mm

公式HPで特徴を
詳しく見る

鶴見製作所に
電話で問い合わせる

画像引用元:東洋スクリーン公式HP
(https://www.toyoscreen.co.jp/product/?id=1488515606-682526&ca=7)
TS式ドラム型絞り脱水機
処理能力 要問合せ
全長 要問合せ

公式HPで特徴を
詳しく見る

東洋スクリーンに
電話で問い合わせる

画像引用元:IHI公式HP
(https://www.ihi.co.jp/separator/products/decanter/mw.html)
スクリュウデカンタ形遠心分離機
HS-MW形
処理能力 3~120㎥/h
全長 1,550~6,240mm

公式HPで特徴を
詳しく見る

IHIに
電話で問い合わせる

※1 参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Water_Treatment_Equipment/detail/MDQ.php)

※2:2025年8月調査時点:参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Dehydrators-Series/)

※3 参照元:東洋スクリーン公式HP(https://www.toyoscreen.co.jp/product/?p=1&ca=7)