工場の排水処理において、汚泥脱水機が消費するエネルギーは少なくありません。近年は電気代や水道代の高騰に加え、環境保全の観点から省エネ化や脱炭素化への対応が求められています。本記事では、従来の脱水機が抱えるエネルギーロスの原因から、コスト削減につながる機種の選び方や事例までを詳しく解説します。
汚泥脱水機における省エネ対策は、単なる機器の更新にとどまらず、工場全体の経営課題を解決するための重要なアプローチとなっています。ここでは、その主な理由を解説します。
世界的に脱炭素社会への移行が進む中、多くの企業にとって温室効果ガス(CO2)排出量の削減は急務です。工場などの大規模な施設において、排水処理設備は24時間稼働することが多く、大量の電力を消費します。
中でも汚泥脱水機は大きな電力を必要とする設備の一つであり、省エネ性能の優れた機器へ見直すことは、工場全体のカーボンニュートラル達成に向けた有効な一歩となります。
近年、エネルギー価格の変動により電気料金や水道料金が高騰しており、工場の維持管理費を圧迫しています。
汚泥脱水機は、稼働時の電力だけでなく、目詰まりを防ぐための洗浄水など多くのリソースを消費します。消費電力が少なく、洗浄水量を抑えられる省エネ型の脱水機を導入することで、毎月のランニングコストを大きく圧縮できる可能性があります。
汚泥脱水機の省エネ効果は、機器の稼働中だけにとどまりません。脱水効率が向上して汚泥の含水率が下がると、廃棄される汚泥の重量と体積が減少します。
これにより、産業廃棄物として搬出する際のトラックの運行回数を減らすことができます。結果として、輸送時に発生するCO2排出量の削減や、輸送コストの引き下げにもつながります。
長年使用されている従来型の脱水機では、構造上の理由からエネルギーのロスが発生しやすい傾向があります。ここでは、方式別にその原因を見ていきましょう。
遠心脱水機は、ボウル(外胴)とスクリューコンベヤを高速で回転させ、遠心力を利用して汚泥を分離・脱水する仕組みです。
処理能力が高く安定している一方で、機器を高速回転させるための強力なモーターが必要となり、非常に多くの電力を消費するという課題があります。常時稼働させる施設では、この電力消費がコスト負担を押し上げる要因となります。
ろ過布(ろ布)を使用するベルトプレス型やフィルタープレス型の脱水機は、ろ布の目詰まりを防ぐために定期的な洗浄が欠かせません。
この洗浄には高圧の水を大量に吹き付ける必要があり、多量の水道水(または工水)を消費します。さらに、洗浄水を送るための高圧ポンプも電力を消費するため、水と電気の双方でエネルギーロスが発生しやすい構造と言えます。
導入から年数が経過し、現在の汚泥発生量に対して機器の処理能力が追いついていないケースもあります。
能力不足を補うために稼働時間を延長すると、それだけ電力や洗浄水の消費量は増加します。機器への負荷も高まるため、部品消耗のリスクが上がり、結果的に修理費用などの予期せぬ出費を招く原因にもなります。
ランニングコストを抑え、環境負荷を低減するためには、どのような視点で脱水機を選べばよいのでしょうか。ポイントを解説します。
省エネ性を重視する場合、多重円板型やスクリュープレス型の脱水機が有力な選択肢となります。
これらの最新機種は、遠心力ではなく物理的な圧力とろ過機構を利用してゆっくりと脱水を行うため、モーターの消費電力を非常に低く抑えられます。また、低速回転で稼働するため騒音や振動が少なく、作業環境の改善にも寄与するというメリットがあります。
洗浄にかかるコストを削減するためには、目詰まり防止機構を備えた機種を選ぶことが重要です。
例えば、多重円板型脱水機は、固定リングと遊動リングが常に動きながら汚泥を搬送・脱水するため、自浄作用が働き目詰まりしにくい構造になっています。これにより、大量の洗浄水を使用する必要がなくなり、水道代とポンプの稼働電力を大きく削減できます。
選定の際は、機器自体の省エネ性能だけでなく「脱水後の汚泥」にも着目しましょう。含水率を低く絞り込める脱水機を選べば、廃棄汚泥の重量が減るだけでなく、焼却処分を行う際にかかる助燃材(燃料)の削減にもつながります。
社会全体のエネルギー消費を減らすという広い視点を持つことが、SDGsやESG経営の観点からも求められています。
実際に省エネ型の脱水機へ更新したことで、どのような効果が得られたのか、具体的な導入事例を紹介します。
ある食品工場では、長年使用していた遠心脱水機の老朽化に伴い、多重円板型脱水機へ更新を行いました。
従来は高速回転による電力消費が負担となっていましたが、低速で稼働する多重円板型に変更したことで、脱水機単体の消費電力を数分の一まで低減させることに成功しました。月々の電気代が目に見えて下がり、初期投資の回収計画も順調に進んでいます。
化学品や洗剤を扱う工場で、ベルトプレス型からスクリュープレス型へ入れ替えた事例です。
以前はろ布の洗浄に大量の水を消費していましたが、目詰まりしにくい機種の導入により、洗浄水量を劇的に削減しました。また、自動運転が安定して行えるようになったことで現場の監視作業が減り、省エネ化と同時に人件費の削減(省力化)も実現しています。
汚泥脱水機の省エネ化は、ランニングコストの削減に直結するだけでなく、脱炭素社会の実現に向けた重要な取り組みです。
現在使用している機器のエネルギーロスを見直し、消費電力や洗浄水量が少なく、含水率をしっかり下げられる機種を選ぶことで、工場全体の利益と環境貢献の両立が可能です。
自社の汚泥の性質や処理量に適した機種を比較検討し、賢い設備投資を進めましょう。

| 処理能力 | 3~216kgDS/h |
|---|---|
| 全長 | 1,790~3,720mm |

| 処理能力 | 要問合せ |
|---|---|
| 全長 | 要問合せ |

| 処理能力 | 3~120㎥/h |
|---|---|
| 全長 | 1,550~6,240mm |
※1 参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Water_Treatment_Equipment/detail/MDQ.php)
※2:2025年8月調査時点:参照元:鶴見製作所公式HP(https://www.tsurumipump.co.jp/products/Dehydrators-Series/)
※3 参照元:東洋スクリーン公式HP(https://www.toyoscreen.co.jp/product/?p=1&ca=7)